在宅就労の就労継続支援B型で提供できる支援内容とは
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- 11月20日
- 読了時間: 12分
更新日:11月25日

この記事では、障がいや体調の理由で通所が難しい方や、そのご家族、福祉関係者に向けて、在宅就労の就労継続支援B型事業で提供できる支援内容について解説します。
就労継続支援B型事業の基本から、具体的な支援内容、地域ごとの違い、利用者の体験談まで、在宅でB型支援を受ける際に知っておきたい情報をわかりやすくまとめました。
在宅就労を検討している方が安心して一歩を踏み出せるよう、最新の制度や実例も交えてご紹介します。
就労継続支援B型事業所と在宅就労
まず、就労継続支援B型の概要と在宅就労の制度について解説します。
就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型は、障害や体調の理由で一般企業での就労が難しい方に対し、働く機会や生産活動の場を提供する福祉サービスです。雇用契約を結ばず、利用者のペースに合わせて作業ができるのが特徴で、利用者が行った生産活動に対して工賃を支払うことで運営を行っていきます。
事業主側は、利用者へのサービスの提供の対価として、行政から給付金を受け取り、その給付金を支援者の人件費や運営に必要なコストに充てます。
多くの就労継続支援B型事業所はオフィスや店舗を持ち、利用者は通所して作業を行うのが一般的です。しかし新型コロナウイルスの蔓延以降、在宅利用の制限が緩和されて影響もあり、自宅に居ながら利用できる在宅就労も普及しています。
在宅支援の重要性と背景
新型コロナウイルスの影響で就労継続支援B型の在宅利用が認められるようなりました。さらに、外出が困難な障害を持つ利用者の増加を背景に、在宅就労できる就労継続支援B型事業所のニーズが高まっています。
自宅で作業できることで、体調や生活リズムに合わせた働き方が実現し、利用者の社会参加や自立支援の可能性が高まります。また、通所が難しい方でも、在宅支援を活用することで就労の機会を得られる点が利用者にとって大きなメリットです。
就労継続支援B型事業所の経営者にとっても、在宅支援の提供は物理的なオフィスの維持費や利用者の送迎にかかるコストを低減させることができ、利益向上が見込まれます。
厚生労働省の方針と支援内容
厚生労働省は「就労系障害福祉サービスにおける在宅でのサービス利用にかかるガイドライン」を公開しています。このガイドラインは、就労支援系の障害福祉サービスである「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」を対象とした、在宅でのサービス利用のポイントを抽出したガイドラインです。
利用者の希望や障害特性を踏まえつつ、在宅でのサービスを提供するにあたって、以下のような運営要件が定められています。
① 運営規程において、在宅で実施する訓練及び支援内容を明記すること。 ② 指定権者から求められた場合には訓練・支援状況を提出できるようにしておくこと。 ③ 在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューを確保すること。 ④ 利用者に対し1日2回は連絡・助言又は進捗状況の確認を行い、日報を作成すること。また、訓練等の内容及び利用者の希望等に応じ、1日2回を超えた対応も行えること。 ⑤ 緊急時の対応ができること。 ⑥ 在宅利用者からの疑義照会等に対し、随時、訪問や連絡等による必要な支援が提供できる 体制を確保すること。 ⑦ 事業所職員の訪問又は利用者の通所又は電話・パソコン等の ICT 機器の活用により評価等 を1週間につき1回は行うこと。 ⑧ 原則として月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問又は利用者による通所により、 事業所内において訓練目標の達成度の評価等を行うこと。 ⑨ ⑦が通所により行われ、あわせて⑧の評価等も行われた場合、⑧による通所に置き換えて 差し支えない。 (その他、在宅と通所による支援を組み合わせることや、利用者が希望する場合にサテライト オフィス等でのサービス利用も可能。) |
在宅就労における支援内容の詳細
在宅就労で提供すべき具体的な支援内容の詳細を解説します。
具体的な支援の種類
在宅就労の就労継続支援B型では、通所型で提供すべきサービスに加えて、在宅就労ならではのサービスの提供も求められます。
具体的な支援内容は以下の通りです。
作業内容の説明や指示の提供
進捗状況の確認とフィードバック
生活リズムや健康管理のサポート
IT機器やソフトの貸与・指導
定期的な面談や相談対応
在宅でのサービスの提供では、支援者の目の前に利用者がいるわけではありません。利用者の作業の様子や健康状態など、きめ細やかな状況確認が必要です。
利用者が持つ障害特性によっては、利用者自身の不調や不満を支援者に対して適切に表現しにくいことが考えられます。そのような利用者の状況をコミュニケーションツールなどを使いこなし把握してフォローすることが求められます。
利用者の要件と対象者
在宅で就労継続支援B型を利用できるのは、障がいや体調の理由で通所が困難な方が主な対象です。医師の意見や支援者の判断に基づき、在宅利用の必要性が認められる場合に限られます。また、自治体によっては在宅利用の基準や手続きが異なるため、事前に確認が必要です。
具体的には以下のような方を利用対象者として想定しています。
・在宅でのサービス利用を希望する者であって、 ・在宅でのサービスによる支援効果が認められると市町村が判断した利用者 |
障害者が在宅就労の就労継続支援B型を利用可能かどうかは、最終的には障害者がお住まいの自治体の判断に委ねることとなります。
在宅就労での作業環境
利用者に在宅就労をしていただくために必要な作業環境を解説します。
リモートワークの環境整備
在宅就労を円滑に進めるためには、作業環境の整備が欠かせません。
事業所は、利用者の自宅環境をヒアリングして、必要に応じて机や椅子、照明などのアドバイスや貸与を行う場合もあります。
また、作業に集中できる時間帯や休憩の取り方など、生活リズムの調整もサポートの一環です。
必要な機器やソフトウェア
在宅就労には、パソコンやタブレット、インターネット環境が必要となる場合が多いです。利用者が必要な機器やソフトウェアを所有していない場合、事業所の方針にもよりますが、それらを貸与することもあります。
利用者のスキルによっては、パソコンやインターネットを自力でやるのが難しいケースもあるため、利用者の自宅まで訪問して、インストールや設定のサポートが必要な場合もあります。
パソコンのOSはWindowsが一般的ですが、クリエイティブ系のB型事業所を運営する場合は、Mac OSを検討しても良いでしょう。その場合は、Adobe Creative Cloudなどの高額なソフトウェアが必要となることもあります。
事業所としては、提供するサービスや生産活動に応じて、利用者が滞りなく作業できるように必要な機器やソフトウェアを整えることが重要となります。
安心して作業できる工夫
在宅での作業は孤独感や不安を感じやすいため、事業所では定期的な連絡やオンラインミーティングを実施することを心がけましょう。
うまく在宅就労を取り入れている事業所では、チャットや電話でいつでも相談できる体制を整え、利用者が安心して作業に集中できるよう工夫されています。メンタルヘルスのサポートや、作業の進捗に応じたフィードバックも重要なポイントです。
利用者の声と成功事例
在宅就労の就労継続支援B型が成功している事例と利用者の声を紹介します。
実際の利用者の声
在宅就労の就労継続支援B型を利用した方からは、「自分のペースで働けて安心」「体調が悪い日も無理せず作業できる」といった声が多く寄せられています。また、家族との時間を大切にしながら社会参加できる点や、支援員とのこまめな連絡が心の支えになっているという意見もあります。在宅でも孤立せず、前向きに働ける環境が評価されています。
当サイトでも在宅就労できる就労継続支援B型の成功事例を掲載していますので是非ご覧ください。
成功事例から学ぶ支援の工夫
成功事例では、利用者の得意分野を活かした作業の提供や、特定の作業にとらわれずに多種多様な生産活動を提供している事業所が紹介されています。
特に重要な点は、障害者の苦手なことではなく得意なことに着目する点です。障害者の中にはコミュニケーションを苦手とする方がいますが、得意なことや夢中になれることが必ずあります。支援者はそのような強みを見つけて、利用者の個別のニーズに応じた支援を行うことが事業所運営の成功につながります。
また、事業所内での作業に加えて、在宅でもできるPCの仕事を取り入れることで、利用者の様々なニーズに応えることもできます。簡単なデータ入力や動画編集など、利用者が興味を持ちそうな作業を生産活動として取り入れるのも良いでしょう。
在宅就労の就労継続支援の効果と満足度
在宅就労の就労継続支援B型の利用者からは、生活リズムの安定や社会参加への自信回復、スキル向上など、多くの支援効果が報告されています。通所のための移動が不要となる点や、居心地の良い自宅での作業で工賃が発生する点は、利用者にとって積極的に利用したいと思っていただけるための重要なポイントです。
また、家族や周囲からの理解も得やすくなり、満足度の高い支援サービスとして評価されています。今後も在宅支援のニーズは高まると考えられるでしょう。
就労継続支援B型と他制度の違い
就労支援サービスには、就労継続支援B型のほかに、就労継続支援A型や就労移行支援があります。就労継続支援B型とそれぞれのサービスとの違いを解説します。
就労継続支援A型との違い
就労継続支援B型では利用者と雇用契約を結ぶことがありません。しかし、就労継続支援
A型は利用者と雇用契約を結んだうえで、利用者に対して生産活動を行っていただく必要があります。
就労継続支援A型では利用者に対して最低賃金を保証しなければならないため、ある程度まとまった業務や最低賃金以上の対価が見込める業務を用意する必要があります。そのため、障害や体調が安定しており、4時間程度継続して業務ができる方に利用していただくこと求められます。
一方、就労継続支援B型で利用者に支給する工賃には最低賃金以上といった制約がありません。
一応、平均工賃として「月額3,000円以上」と定められていますが、この数字は最低賃金と比較しても、かなり安価です。そのため、利用者の体調やペースに合わせた、より柔軟な働き方をしていただくことが可能です。在宅就労においても就労継続支援B型の方が利用しやすいといえるでしょう。
就労移行支援との違い
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象に、就職活動や職業訓練をサポートする制度です。就労継続支援B型とは異なり、あくまでも一般就労を目指したい障害者のためのサービスとなっています。
就労移行支援は通常、利用者に対して2年程度の職業訓練を行い、一般就労に向けての支援を行います。就労継続支援B型とは異なり、報酬が発生する作業を行う事業所は少な目です。
就労継続支援B型も一般就労を目指すための障害福祉サービスという建付けですが、実際は、利用者に対する居場所の提供や社会参加として機能しており、必ずしも一般就労を目指すような事業所とはなっていないことが多いです。
まとめと今後の展望
在宅就労可能な就労継続支援B型は今後どのようになっていくのでしょうか。この記事のまとめと今後の展望を見ていきましょう。
在宅就労と就労継続支援B型の未来
在宅就労のニーズは身体の不自由な方だけでなく、精神障害や発達障害を持つ方にとっても、高まっていくことが予想されます。また、テクノロジーの進化や社会の多様化により、在宅でできる仕事の幅も広がっているからです。
一方、適切なサービスを提供できていない事業所に対して、行政はサービスの改善を厳しく求めていくことが予想されます。
在宅就労の就労継続支援B型の制度には、地域ごとの格差や工賃の低さ、支援体制のばらつきなど、改善すべき点も残されています。在宅就労したいという利用者のニーズはたしかにありますが、画一的な支援では対応しきれないこともあります。
運営者は利用者の個別のニーズを丁寧に把握しつつ、障害福祉サービスとしての質を向上させながら、より良い就労環境を築いていくことが求められます。
自立支援に向けた重要なステップ
在宅就労支援B型は、利用者の自立や社会参加を後押しする大切なステップです。自分のペースで働きながら、スキルや自信を身につけることができます。今後も多様な働き方が認められる社会の実現に向けて、在宅就労支援の役割はますます大きくなるでしょう。
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この記事でよくある質問と回答
この記事に関することで、よくある質問と回答をまとめました。
Q1.どのような人が在宅での就労継続支援B型を利用できますか? |
A1.障害や体調の理由で事業所への通所が困難な方が対象です。具体的には、在宅でのサービス利用を希望し、かつ「在宅での支援効果が認められる」とお住まいの市町村(自治体)から判断された場合に利用が可能となります。 |
Q2.利用者の自宅にパソコンやインターネット環境がなくても始められますか? |
A2.事業所によっては、パソコンやタブレット、Wi-Fiルーターなどの機器の貸し出しを行っている場合があります。また、機器の設置や設定に不安がある利用者には、支援員が自宅を訪問してサポートすることもあります。 |
Q3.在宅就労で困っている利用者の対応はどうしますか? |
A3.在宅就労であっても、利用者が孤立しないようきめ細かくサポートします。具体的には、チャットツールや電話、Web会議システムなどを使い、1日2回程度の連絡や進捗確認を行うことがガイドラインで定められています。いつでも相談できる体制が整っているため、安心して作業に取り組めます。 |
Q4.就労継続支援A型の在宅利用とは何が違いますか? |
A4.大きな違いは「雇用契約」の有無です。A型は雇用契約を結ぶため、最低賃金が保証される一方で、決められた勤務時間を守る必要があります。一方、B型は雇用契約を結ばないため、体調やペースに合わせて柔軟に働くことが可能です。体調に波がある方にはB型が適しています。 |
Q5.在宅ではどのような生産活動を行い、利用者に工賃を支払いますか? |
A5.生産活動の内容は事業所により異なりますが、データ入力や動画編集、デザイン制作などのパソコンを使った業務が多いです。在宅であっても、行った生産活動に対して工賃を支払います。 |




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